組合員証で診療を受けるとき
-自己負担3割で医療を受けられる-
組合員とその家族(被扶養者)が、公務によらないで病気になったり、ケガをして診療を受ける場合は保険医療機関に組合員証を提示して診療を受けることが原則です。
この場合、組合員は一部負担金を、家族(被扶養者)は自己負担金を支払えば残りは共済組合が負担します。
なお、この医療費の一部負担(自己負担)の額が一定額を超えるときは、高額療養費が支給されます。また、組合員には「一部負担金払戻金」が、家族(被扶養者)には「家族療養費附加金」が支給されます。(詳しくは「短期給付の種類 」を参照)
医療費の一部負担(自己負担)率(外来・入院とも)
通常 | 3割負担 |
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70歳以上75歳未満 | 2割負担(現役なみ所得者は、3割負担) |
義務教育就学前 | 2割負担 |
組合員証で受けられる医療
- (1)診療や治療のための検査(人間ドックなどは除く)
- (2)病気やケガの治療
- (3)薬や注射などの処置
- (4)入院及び看護
- (5)かかりつけ医者による訪問診療や訪問看護
入院したときの食事代 -入院時食事療養費-
入院中に食事の提供を受けるときは、次の額を支払えば、残りは共済組合が負担します。
食事療養費標準負担額 1食あたり 460円
ただし、低所得者等には、負担軽減措置があります。
65歳以上75歳未満の居住費、食費 -入院時生活療養費-
長期療養入院している65歳以上75歳未満の組合員やその家族(被扶養者)が生活療養(食事療養並びに温度、証明、給水に関する適切な療養環境の形成)を受けるときは、食費、居住費の一部として次の額を支払い、残りは共済組合が負担します。
生活療養標準負担額 食費460円(1食)、居住費370円(1日)
ただし、低所得者等には負担軽減措置があります。
組合員証が使用できなかったとき
病気やケガをしたときの診療は、組合員証を病院などの窓口に提示して受けるのが原則ですが、下記のような場合は診療にかかった費用などを一時組合員等が立て替え、その後、共済組合に請求するなどの方法があります。
やむを得ない事情のため組合員証を使用できなかったとき
旅行等の途中で急病にかかり組合員証を持ち合わせていなかった場合など、どうしてもやむを得ない事情で組合員証を使って診療を受けることができなかったときは、いったん自分で医療費を支払い、後で共済組合に療養費又は家族療養費を請求することができます。
この方法はあくまでも例外で、やむを得ない事情と共済組合が認めた場合に限られます。
※請求には、医療費の領収書及び診療の内容がわかる明細書が必要です。
必ずもらっておきましょう。
はり・きゅう・マッサージ師などの施術を受けたとき
神経痛などの治療であらかじめ医師の同意を得て、はり・きゅう・マッサージ師などから施術を受けた場合(一定期間に限ります)や柔道整復師の施術を受けた場合には、療養費又は家族療養費が支給されます。
骨折などで柔道整復師の施術を受ける場合は、ほとんど組合員証が使用できます。
※単なる疲労や倦怠感では使えません。注意してください。(組合員証が使えないとき を参照)
治療用装具を購入したとき
医師が、治療上必要であると認めた関節用装具、コルセットなどの治療用装具(厚生労働省の認可を受けているものに限ります)、小児治療用眼鏡(弱視)、弾性ストッキング、スリーブ等(上限額あり)を購入した場合には、その購入代金から本人負担額を控除した額が療養費又は家族療養費として支給されます。
輸血の血液代を払ったとき
輸血のための生血代については、親子・兄弟・配偶者などの親族から血液の提供を受けたときを除き、その費用が支給されます。
海外で診療を受けたとき
海外で病気やケガのため医者にかかり、その費用を支払ったときは、療養費又は家族療養費が支給されます。
※療養費の算定は、国内の基準により計算されるので、医療事情の違いから実際に支払った額より少なく支給されることがあります。
※請求には、診療内容明細書と領収書が必要です。必ずもらっておきましょう。
組合員証が使えないとき(組合員証で受けられない診療)
共済組合の「療養の給付」は病気やケガの治療を対象としています。そのため、病気やケガと認められないものには、組合員証は使えません。
また、病気やケガであっても、共済組合の「療養の給付」から除かれる場合も、組合員証の使用を制限される場合もあります。
公務中や通勤途上のケガ | 地方公務員災害補償基金が療養補償します。(人事課) |
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病気やケガと認められないもの | 全額自費で診療を受けます。 |
単なる予防措置及び疲労回復処置
健康診断、予防注射、虫歯の予防処置やビタミン注射などの単なる疲労回復処置
美容・整形のための措置や手術
美容・整形手術(隆鼻術など。ただし、ケガをした後の処置は組合員証等で受けられます。)
しらが、多毛などの処置、近視・遠視・斜視・色覚異常の診療(視力の回復が望めるときの診療は組合員証で受けることができます。)
正常な妊娠・出産や経済的理由による妊娠中絶
正常な妊娠・出産は病気ではないので使えません。
ただし、異常分娩の時の診療は、組合員証で受けることができます。
また、母胎が危険なときなど、母体保護法に基づく妊娠中絶には組合員証が使えます。
健康診断・人間ドック
組合員証は使えませんが、共済組合の保健事業で人間ドック等の受診を補助しています。
医師が治療上必要と認めない治療用装具
治療用装具については、組合員証が使用できません。ただし、医師が治療上必要であると認めた装具については、「療養費」「家族療養費」による支給となります。
保険適用が認められていない治療法や研究中の高度医療
最初から「保険適用外」となっている治療法などには、組合員証が使えません。ただし、特定療養費として差額を自己負担すれば受けられる治療もあります。
次のような行為は、共済組合の相互扶助の精神を傷つけるものです。療養に関する各種給付の一部又は全部が制限されることがあります。
番号 | 行為の内容 |
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1 | けんか、泥酔、麻薬使用、犯罪などで病気やケガをしたとき |
2 | 無謀運転や飲酒運転で事故を起こしたとき |
3 | 詐欺や不正行為で保険診療を受けようとしたとき |
4 | 保険医の指示に従わないで、治療を長引かせたり、病気を悪化させたとき |
高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
医療費が高額になったときは、組合員の負担をできるだけ少なくするため、次の場合は高額療養費が支給されます。
また、あらかじめ共済組合から自己負担限度額に係る認定証の交付を受け(高齢受給者については低所得Ⅱ、Ⅰに該当する者のみ)、組合員証と一緒に医療機関に提出することで、窓口負担が下表の自己負担限度額までとなります。
なお、この自己負担から高額療養費として支給される額を控除した後の額が一定額を超えるときは、一部負担金払戻金、家族療養費付加金又は家族訪問看護療養費付加金が支給されます。
1ヶ月の一部負担金などの額が自己負担限度額を超えたとき
同一の月に1つの病院に支払った一部負担金などの額が次の自己負担限度額を超えた場合は、高額療養費として支給されます。
70歳未満の組合員または被扶養者
区分 | 自己負担限度(額算式) |
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標準報酬月額83万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1/100 |
標準報酬月額53万円以上79万円以下 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1/100 |
標準報酬月額28万円以上50万円以下 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1/100 |
標準報酬月額26万円以下 | 57,600円 |
低所得者※1 (市町村民税非課税者等) | 35,400円 |
※1 療養を受けた月の属する年度(療養を受けた月が4月から7月までの場合は前年度)において、組合員が市町村民税の非課税者である場合に、低所得者に該当します
70歳以上75歳未満の組合員または被扶養者
区分 | 高額療養費算定基準額 | ||
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外来(個人ごと) | 入院を含めた世帯全体 | ||
現役並み所得者 | 標準報酬月額83万円以上 |
252,600円+(総医療費 - 842,000円)×1% 【多数回該当の場合】140,100円 |
|
標準報酬月額53万円以上 79万円以下 |
167,400円+(総医療費 - 558,000円)×1% 【多数回該当の場合】93,100円 |
||
標準報酬月額28万円以上 50万円以下 |
80,100円+(総医療費 - 267,000円)×1% 【多数回該当の場合】44,400円 |
||
一般 | 18,000円 【外来年間合算の場合】 144,000円 |
57,600円 【多数回該当の場合】44,400円 |
|
低所得者 | 低所得Ⅱ |
8,000円 | 24,600円 |
低所得Ⅰ | 15,000円 |
1ヶ月の支払額が、21,000円以上が複数ある時(世帯合算)
同一の世帯で、同じ月内にそれぞれ1つの病院に支払った額が、21,000円以上の額が2回以上ある場合は、支払額を合算した額から自己負担限度額を控除した金額が「高額療養費」として支給されます。
同一世帯で高額療養費が多数あるとき(多数該当)
高額療養費が支給される場合、同一の世帯で、その月以前の12ヶ月以内にすでに3回以上高額療養費が支給されているときは、4回目以降から次の金額を控除した額が高額療養費として支給されます。
① 標準報酬月額83万円以上 | 140,100円 |
---|---|
② 標準報酬月額53万円以上79万円以下 | 93,000円 |
③ 標準報酬月額28万円以上50万円以下 | 44,400円 |
④ 標準報酬月額26万円以下 | 44,400円 |
⑤ 低所得者(住民税非課税) | 24,600円 |
※後期高齢者医療制度の被保険者となった月については、上記の額は2分の1になります。また、組合員が後期高齢者制度の被保険者となった場合、その被扶養者は国民健康保険等に加入することになりますが、この場合の被扶養者に係る上記の額も同様に2分の1になります。
長期にわたる高額な病気の患者の特例
組合員又は家族(被扶養者)が人工透析を必要とする慢性腎不全や血友病の診療を受けた場合で、この診療を受けた組合員・家族(被扶養者)が共済組合の認定を受けたものであり、かつ、同一の月にそれそれ1つの病院等から受けたこの診療の一部負担金などの額が10,000円(人工透析を必要とする70歳未満の組合員のうち給料月額424,000円以上の者は20,000円)を超える場合には、その一部負担金などの額から10,000円又は20,000円を控除した額が高額療養費として支給されます。
- (注)
- ※ この特例を受ける場合は、共済組合が発行する「特定疾病療養受療証」を共済組合員証とともに病院などに提示する必要があります。
- ※ 特定疾病療養受療書は、共済組合に「特定疾病療養受療証交付申請証」を提出し、交付を受けてください。
- ※ 後期高齢者医療制度の被保険者となった月については、上記の額は2分の1になります。また、組合員が後期高齢者制度の被保険者となった場合、その被扶養者は国民健康保険等に加入することになりますが、この場合の被扶養者に係る上記の額も同様に2分の1になります。
70歳未満の高額療養費の現物給付
- (1)対象者
70歳未満の組合員及び被扶養者 - (2)対象となる療養
同一月に一つの保険医療機関で療養を受けた際の一部負担金の金額が高額療養費の対象となる場合。 - (3)手続き
「限度額適用認定申請書」を共済組合に提出し、「限度額適用認定申請書」の交付を受け、受診する保険医療機関等の窓口で提示
(医療機関には高額療養費の現物給付の旨を申し出ておいてください。)
窓口での支払が自己負担限度額のみを支払う。
(高額療養費は、組合員等に給付せず、医療機関に共済組合から直接支払います。)
※現物給付を希望される方は「限度額適用認定申請書」を提出してください。
添付書類等は、不要です。
訪問看護を受けたとき(訪問看護療養費・家族訪問看護療養費)
組合員又はその家族(被扶養者)が末期のガン患者、難病患者等であり、かかりつけの医師に申し込み、指定訪問看護事業者から訪問看護を受けたときには、療養費の3割を支払えば、残りは共済組合が負担します。
差額を自己負担するとき(保険外併用療養費)
共済組合の短期給付等の公的医療保険が適用となる医療と保険外の医療を併用して受けることはできませんが、法令で定めれる次の医療(評価療養・選定療養)については、併用が認められています。
この場合、保険診療と変わりのない基礎的な部分(診療、検査など)については、保険外併用診療費として、一般の保険診療と同様の給付が受けられます。
ただし、基礎的な部分との差額(保険外の部分)については、共済組合の給付対象とはならず患者が支払うことになります。
評価療養
将来的な保険導入のための評価を行うもの(先進医療、国内未承認薬等)
●先進医療を受けたり、国内未承認薬を使用する場合等は、保険診療と変わりのない基礎部分について、保険外併用療養費として保険診療が受けられます。しかし、これ以外の部分については患者が支払うことになります。
選定療養
保険導入を前提としないもので、快適性・利便性に係るこの、医療機関の選択に係るもの等(差額ベッド、歯の治療、予約診療や時間外診療等)
●差額ベッド
普通室より条件の良い病室(個室、2人部屋など)を選んだときや、長期療養でより良好な療養環境の提供を受けたときは、差額を支払うことになります。
●歯の治療
歯の治療には、使用材料ごとに一定の制約が設けられています。金合金、白金加金などの材料を使いたいときは、治療方法に応じて給付範囲の材料との差額を支払うことになります。
●予約診療や時間外診療
予約診療制を取っている病院で予約診療を受けた場合や、時間外診療を希望した場合などは、予約料や時間外加算に相当する額などは自己負担になります。
移送したとき(移送料・家族移送費)
組合員又はその家族(被扶養者)が、病院などへ移送された場合で、次の要件のいずれにも該当すると共済組合が認めたときは、「移送費」「家族移送費」が支給されます。その額は、最も経済的な通常の経路及び方法によって移送された場合の費用により算定した金額ですが、現に移送に要した費用の金額を超えることはできません。
- ① 移送の目的である療養が保険診療として適切であること
- ② 患者が療養の原因である負傷、疾病により移動困難であること
- ③ 緊急その他やむを得ないこと
通院等の一時的、緊急的とは認められない場合については、支給対象とはなりません。
標準的な事例としては、
- (例1)負傷した患者が災害現場等から医療機関に緊急に移送された場合。
- (例2)離島等で疾病にかかり、または負傷し、その症状が重篤であり、かつ、傷病が発生した場所の付近の医療施設では必要な医療が不可能であるか又は著しく困難であるため、必要な医療の提供を受けられる最寄りの医療機関に移送された場合。
- (例3)移動困難な患者であって、患者の症状からみて当該医療機関の設備等では十分な診療ができず、医師の指示により緊急に転院した場合。
個々の事例に応じて社会通念上妥当な範囲内であると共済が認めた場合に支給されます。